トランプ関税が発表になり相場が荒れた時、
「ああ損した。投資なんてやらなければよかった」と損キリして退場する、
いわゆる退場民が多く見受けられました。
結果的には長期的な視点に立ってバイ&ホールドした人が今回も正解でした。
「今回も?」と思うかもしれません。
米国S&P500の全期間チャートを見てください。
ブラックマンデー、リーマンショック、コロナショック、そして今回のトランプ関税ショック。
その度に相場自体は下落していますが、後に取り戻して右肩上がりの上昇を続けています。
S&P500の全期間チャートはNISAで投資を始める人に投資の説明をする時によく用いられます。
投資を始める人の疑問としては、
「下がったらどうするんですか?」というのはお客様から当然の質問です。金融機関の人は言います。
「下がった時に売ると損失が確定してしまうので売らないで積み立てを続けましょう。安い時には多く買えます。これをドルコスト平均法といいます。」
この説明がある意味正しいことが今回も証明されてしまいました。
しかし、保有資産がたった数日で10%を超える損失を被ったのに平常心でいられるでしょうか。
「ああ、もうだめだ」とぶん投げた時から回復してきたりします。
株式市場が下落した時に下がらなかった、下がっても為替変動の分だけ下がった、
そんな投資先があります。外国債券です。外国なので日本以外の債券に投資します。
外国債券の中でも新興国債券がなかなか興味深い動きをしていました。
2%から3%程度の利益が乗っていたところ、トランプショックの時には為替が円高に振れた分
下落して1.5%程度の下落で済みました。その後、為替相場も戻り今は元の2%から3%程度の
上がっている状態に戻っています。
なぜ、外国債券の中の新興国債券なのでしょうか?
新興国債券のメリット
高い利回り
新興国債券は、先進国債券に比べて一般的に利回りが高く、たとえば投資適格の新興国社債で5.5~6%、ハイイールド債では8~10%といった水準が見られます。
これは、投資家がリスクを取ることに対する「プレミアム(報酬)」として機能します。
金利低下の恩恵
一部の新興国ではインフレが落ち着き、中央銀行が利下げに転じているため、
債券価格の上昇が期待されます(=キャピタルゲインの可能性)。
通貨の回復と資金流入
新興国通貨が底打ちしつつあり、外貨準備の増加や資金流入が続いていることから、
現地通貨建て債券にも追い風が吹いています。
分散投資の効果
新興国は経済成長のドライバーが多様で、先進国とは異なる動きをすることが多いため、
ポートフォリオ全体のリスク分散に寄与します。
新興国債券のリスク
政治・経済の不安定性:政権交代や政策変更、地政学リスクなどが価格に大きく影響する可能性があります。
為替リスク:現地通貨建て債券の場合、通貨の下落がリターンを相殺することがあります。
流動性リスク:市場規模が小さいため、売買がしにくい場合があります。
まとめ:なぜ今、新興国債券?
2025年の現状では、以下のような背景が新興国債券を後押ししています:
米国の利下げ観測により、資金が新興国に流れやすい環境であること、新興国の選挙が一段落し、
政治的安定が見られる国が増加していること、高利回りとスプレッド縮小の余地があるため、
リスクを取る価値があると判断されていることなどがあげられます。
とはいえ、個人投資家が新興国債券の現物に投資するのはハードルが高いです。新興国債券といってもピンキリですから。投資信託であればプロによる長年の運用実績がありますし、100円から買えるところから投資しやすい環境が整っています。
リスクテイクして早く大きく儲ける株式投資の逆でリスクを小さく着実に増やす投資先として、
新興国債券インデックスファンドは信託報酬もそれほど高くなく検討してみる価値があります。
まさに守りから入る投資と言えるでしょう。